摂食障害克服編① 〜摂食障害に陥る
前回では、20年以上苦しんだ摂食障害を克服することができたとお話ししました。
今回からは、私がどのように摂食障害から立ち直るまでに至ったかを数回に分けて、お話ししていきたいと思います。
(※これは、私のストーリーであって、こうすれば治癒するよ、など方法を推奨するものではないことをご了承ください)
まず、「なぜ私が摂食障害に陥ったのか」から始めたいと思います。
ちなみに、元の原因を解決することだけが万事克服に直結するとは、私は思っていません。
なぜなら、ある単純な原因から始まったことでも、時間と共に違う原因が追加されたり、形を変えていくこともあるからです。
私のように、時間が長引けば長引くほど…
これは、また後ほどお話ししていきたいと思います。
摂食障害と言っても、人により原因や症状は様々のはずです。
よく聞かれるダイエットをきっかけに、にしても、根底にはまた別の理由が隠れている場合もあるかもしれません。
私の場合は、大きく3つありました。
- 外観コンプレックス。
- 日々の喪失感。自己肯定感の低さ。
- 身近に摂食障害の人がいた。
– 外観コンプレックス ー
私は、元々細身の体型でしたが、思春期になって体重が一気に増加しても特にダイエットしようと考えたことはありませんでした。
が!自分の高身長は大大大っ嫌いでした。
中学生で170㎝近くまで身長が伸び、当時でその身長は珍しく、クラスの男子だけでなく通りすがりの男子にまで
「デケー女」と吐き捨てられることもありました。
中学生と言えば、異性の目に敏感な年頃。
当時、流行っていた少女漫画の主人公もみんな背の小さい女の子。
その頃、私の中で、
「背の小さい女の子 = かわいい女の子」→
「背の大きい女の子 = かわいくない女の子 = 私」
という構図が出来上がってしまいました。
私は、いつも背を丸めていて、黒板の上部をジャンプして消す女子を横目で羨ましく見ているようなコンプレックスの塊でした。
19歳になり、人生で初めて始めたダイエットによって、見た目が細くなりました。
時は変わり、その当時は痩せたモデルが大流行していた時代。
背が高く細くなった私は、急に周囲にもてはやされるようになりました。
コンプレックスだった身長が突然、「強み」になったのです。
私の中で、次は
「背が高くて細い自分 = 価値がある私」→
「背が高いだけで細くない自分 = 価値がない私」
という構図ができてしまいました。
世間が良しとする時々の流行の体型を追い求め、それによって自分の価値を決める罠にまんまとハマったのでした。
それが、自分のアイデンティティであり、ステータスとさえ思い込むようになりました。
そこからは、言わずもがなですが、ただの「デケー女」には戻りたくないという恐怖、ちやほやされるステータスを失いたくない、価値ある自分で居続けなければいけない、というプレッシャーに必死にしがみつく結果、摂食障害に至ったのです。
どうか、他人がどうあなたを見るかであなたの価値を決めないでください。
そして、流行りの体型なんてものは、変わります。
– 日々の喪失感。自己肯定感の低さ ー
今思うと、外観コンプレックスと同等かそれ以上に、この理由が私が摂食障害に陥った大きな理由ではないかと考えています。
私は当時、毎日が面白くありませんでした。
特に大きな不満はないけれど、何に打ち込むわけでもなく、何か情熱を傾けるものがあるわけでもなく、精気、というものは間違いなく感じられなかったと思います。
それは、高校生の頃からです。
念願だった高校に合格したのをきっかけに、プッツリと緊張の糸がきれ、目標がなくなりました。
そうすると、学業でも落ちこぼれになるのはあっという間でした。
落ちこぼれになると、自分は能力のない人間だと思うようになりました。
実際、やる気もなく何かに必死に取り組むこともなかったので、何をしてももちろん成果が挙げられるはずはありません。
で、成果が上がらないから、さらに何もする気が起こらない。
こうなると、もう悪循環です。
高校生活はずっと、そういった延長で過ごし、そのまま大学生になりました。
大学生になり一人暮らしを始め、食生活が乱れた結果、短期間で10キロ近くも体重が増加しました。
ダイエットを始めたのは、その頃です。
ですが、実は、自らダイエットを始めたわけではありません。
それくらい、私は体重に無頓着だったのです。
次に述べますが、身近にいた摂食障害者のダイエットの付き合いで、ちょうど太ってきたし、私もダイエットしてみるかぁ程度の、半ば遊び半分で始めたのです。
ところが、体重はスルスルと落ちました。
数値が着実に変わっていくのを見るのは面白く、日々の彩りのない生活に興奮を与えてくれました。
さらにダイエットに拍車をかけました。
すると、さらに体重の数値が落ちました。
体重変遷の折れ線グラフを作り、日々の食事や運動を記録し…と何かに取り組む工程の楽しさ。
そして、それに成果がついてくると、やればできるんだ、という久しぶりに味わった自信と達成感のような気持ち。
数値の変動に陶酔していました。
これが、第二の摂食障害に陥った理由です。
– 身近に摂食障害の人がいた ー
第三の理由は、理由というより、影響を受けたという方が正しいかもしれません。
先に述べたように、私は身近にいた人の付き合いでダイエットを始めてみました。
すでに彼女が過食嘔吐していることも知ってはいましたが、それに対しては全く理解もなく自分とは別世界のものと思っていましたし、正直ネガティブな感情すら抱いていました。
ところが、自分のダイエットがエスカレートし、拒食に陥り、過食嘔吐に進行したきっかけには、彼女を見ていて、そういう解決法もあると思ったのは事実です。
もちろん、人がしているから自分も、は責任転嫁に過ぎず、言い訳がましく聞こえるかもしれません。
ですが、人は周囲から影響される生き物です。自己確立がまだ未熟なうちの若い頃は、特に影響された刺激を自分なりに消化することなく、そのまま適応してしまいがちです。
私が、偏ったボディイメージを煽るような、今日のsnsなどで見るエクササイズコンテンツに危機感を覚えるのもその為です。
話はそれましたが…、以上が私が摂食障害に陥った理由でした。
次回は、摂食障害に苦しんだ20年について、触れたいと思います。